トランス・トランス・フォーエバー/櫻井まゆ(さくらいまゆ)
2004年3月16日 読書■18歳の葛藤や本音〜市内の櫻井さんの遺稿が短編集に
旭川市内の高校に通い、小説家を志しながら一昨年の冬に18歳で亡くなった、櫻井まゆさんの小説を収録した短編集「トランス・トランス・フォーエバー」が、東京の出版社・新風舎から刊行された。遺稿から選ばれた10点の短編は、思春期にひとりの人間としての生き方を確立する上での内面の葛藤、心の病に対する本音や感情があらわになっている。
櫻井さんは2歳で横浜市から北海道に引っ越し、小学5年から旭川で暮らし始めた。14歳の時に小説やエッセイを書き始め、ホームページで日記を公開したり、自分で編集した短編集を市内の書店で販売していた。
しかし引きこもりや遅刻、欠席を繰り返し、18歳で自ら命を絶った。亡くなったあと、母親の稲垣敦子さんが小説の一部を出版社に送ったところ、表現力の高さを評価された。
フィクションや童話風の短編が中心だが、精神科の病院に出かけた時の体験をもとにした作品など、実話に近い要素も含まれている。淡々とした流れの中に出てくる病気に関する専門用語や何気ないしぐさ、他人とのやりとりの描写の細かさは、生々しい空気をリアルに感じさせる。
文章は安部公房や京極夏彦、村上龍など、櫻井さんが好んで読んだ作家の影響を色濃く受けた。書くことで素直な思いを表現しようとしたエネルギーと、それができないもどかしさが、読み手に突き刺さってくる。稲垣さんは、「同世代の人や、子供との向き合い方に悩む父母にも読んで欲しい」と話している。
A5判142ページ。税込み1200円。
引用元(ライナーNet 3月16日号より)
http://www.liner.jp
旭川市内の高校に通い、小説家を志しながら一昨年の冬に18歳で亡くなった、櫻井まゆさんの小説を収録した短編集「トランス・トランス・フォーエバー」が、東京の出版社・新風舎から刊行された。遺稿から選ばれた10点の短編は、思春期にひとりの人間としての生き方を確立する上での内面の葛藤、心の病に対する本音や感情があらわになっている。
櫻井さんは2歳で横浜市から北海道に引っ越し、小学5年から旭川で暮らし始めた。14歳の時に小説やエッセイを書き始め、ホームページで日記を公開したり、自分で編集した短編集を市内の書店で販売していた。
しかし引きこもりや遅刻、欠席を繰り返し、18歳で自ら命を絶った。亡くなったあと、母親の稲垣敦子さんが小説の一部を出版社に送ったところ、表現力の高さを評価された。
フィクションや童話風の短編が中心だが、精神科の病院に出かけた時の体験をもとにした作品など、実話に近い要素も含まれている。淡々とした流れの中に出てくる病気に関する専門用語や何気ないしぐさ、他人とのやりとりの描写の細かさは、生々しい空気をリアルに感じさせる。
文章は安部公房や京極夏彦、村上龍など、櫻井さんが好んで読んだ作家の影響を色濃く受けた。書くことで素直な思いを表現しようとしたエネルギーと、それができないもどかしさが、読み手に突き刺さってくる。稲垣さんは、「同世代の人や、子供との向き合い方に悩む父母にも読んで欲しい」と話している。
A5判142ページ。税込み1200円。
引用元(ライナーNet 3月16日号より)
http://www.liner.jp
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