いかりや長介さん、アフリカへ思い残し…
30回以上訪問、「日本と違う時間にひかれたのでは」

 20日に死去したザ・ドリフターズのリーダーで俳優のいかりや長介さん(享年72)。23日の通夜では多数の弔問客が、その早い死を惜しんだ。バンドマン、芸人、俳優の道を追求する一方、アフリカにひかれ、度々訪れては“命の洗濯”をしていたいかりやさん。アフリカ仲間も偲んだ。

 いかりやさんがアフリカを初めて訪れたのは、70年代。以来、番組収録などで30回以上訪れ、第2の故郷とも。

 「最後はこれまでにないチェックぶりで、『もう1度、打ち合わせをさせてほしい』と事務所の前で1人で待っていらしたこともあった」

 2001年9月に放送されたアフリカ番組の“遺作”でテレビ東京系「いかりや長介 野生アフリカ大冒険」など数回番組を制作した「デナクリエーション」のスタッフは「古希を迎え、『もうアフリカに行くのも最後になる』と番組への思いが強かったようです」と当時を振り返る。

 また、アフリカにひかれた理由について「自分は不器用だから、すれていないアフリカの部族や野生動物たちにふれると心が洗われる」などとスタッフに話してもいた。

 約20年前の番組「いかりや長介のアフリカ一人旅」に同行したフリーのテレビカメラマンで映像NGO「人間舎」代表の中村賢二郎さん(60)は「アフリカはいいぞ。理屈じゃないんだ」と話しかけられたことを思い出す。

 広大な砂漠地帯で遊牧民族との3日間の共同生活。遊牧民族たちはヤギの目玉を使った料理などでもてなし、いかりやさんも一緒に魚を捕まえ、料理も。「台本を無視して自分から動く。こんなタレントさんは他にいませんよ」と中村さん。

 砂漠で踊るシーンの撮影では、砂嵐が巻き起こり姿が消えた。やがてシルエットが浮かび上がると、いかりやさんはまだ踊り続けていた…。

 「アフリカには、日本とは違う時間がある。いかりやさんには、そんなアフリカ的な気質があったような気がする」

 中村さんは帰国後、アフリカにハマり、現在はボランティア活動にも携わる。兵庫県明石市でのイベント開催のため葬儀には行けないが、近く、いかりやさんの霊前に活動を報告するつもりだ。

ZAKZAK 2004/03/24
http://www.zakzak.co.jp/geino/n-2004_03/g2004032414.html

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